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レポートナンバー 0000025213

透明高分子材料の高屈折率化と屈折率制御

株式会社シーエムシー出版

Control and Improvement of High-Refractive-Index Property of Transparent Polymers

発刊日 2019/12/13

言語日本語

体裁B5/205ページ

ライセンス/価格205ページ

0000025213

B5版 58,300 円(税込)

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ポイント

高屈折率樹脂はスマートフォン用途や車載光学センサ用途など需要が拡大!
樹脂製光学レンズ・フィルムの多機能化,薄型化のための屈折率の向上と制御といった課題の解決策を提示!
高分子材料の設計からハイブリッド化,応用技術まで幅広く最新の動向を紹介する1冊!

レポート概要

【刊行にあたって】

 従来、光学材料は無機材料であり、その多くはガラス材料として応用されていた。様々な高分子材料が合成され、無機材料にとって代わることが多くなったが、開発当初の高分子材料は、耐熱性や寸法安定性に問題を抱え、透明性が悪く、屈折率を高くするとアッベ数が低下してしまうことが問題であった。しかしながら、高分子材料は無機材料と比較すると軽量で、加工性に優れ、材料として大量供給が可能で、将来的には安価で有用な材料として期待されていた。
 かつて、光学材料のさきがけとしてプラスチック眼鏡レンズがある。メガネ用プラスチックレンズが始めて開発されたのは1942年に米国PPGインダストリー社が開発したジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR-39)であり、屈折率は1.50程度であった。1990年代ごろまでは、眼鏡と言えばガラスレンズが主流であり、ちょうどその頃に、プラスチック眼鏡レンズによる、ふちなし眼鏡が発売され、若者を中心に大きな支持が得られることとなり、眼鏡の新しいおしゃれスタイルとして確立された。その当時のプラスチック眼鏡レンズの屈折率は、ガラスレンズの屈折率の高さには到底及ばず、プラスチックのレンズの厚さはガラスレンズの倍程度であった。しかし、プラスチックに直接、眼鏡フレームを加工させることで、ふちなし眼鏡を世に出さしめることを可能したのである。弱点として、プラスチックレンズは、傷がつきやすく、耐候性が弱く、レンズの透明性の低下が指摘された。最近では、プラスチックレンズの屈折率は1.7以上となり、耐候性にも優れ、現在の眼鏡レンズのほとんどはプラスチック(高分子材料)となった。さらに、その屈折率とアッベ数は、改良が加え続けられている。著者も、2~3年に一度、新しい眼鏡を購入する際に、店員の方に、屈折率とアッベ数を尋ねてみると、屈折率とアッベ数は確実に進歩し、それにつれて価格も安くなっていることを実感している。
 このような高屈折率高分子材料は、眼鏡レンズだけではなく、光ディスク基板、イメージセンサーや、光ファイバー等にも応用されるようになった。また、高屈折率光学フィルムとしての応用はさらに幅広い。また、高分子材料は無機材料と組み合わせた、有機・無機ハイブリッド材料も基礎研究段階から実用化段階として、その可能性の幅は非常に大きいと感じている。
 本書では、屈折率の基本概念から、合成法から応用まで、大学の基礎研究から企業の実用化研究まで多岐に渡って執筆されているので、幅広い研究者の方々にご興味を持っていただけるのではないかと思っていますので、今後の材料開発研究の一助になれればと期待しています。
 最後に、本書の出版に当たり、ご多用のところ、貴重な時間を割いて御寄稿を頂きました多くの著者の方に心より御礼申し上げます。
(本書「はじめに」より)

レポート詳細

監修

工藤宏人

著者一覧

工藤宏人  関西大学
近藤高志  東京大学
谷尾宣久  千歳科学技術大学
信川省吾  名古屋工業大学
松本章一  大阪府立大学
加藤宣之  三菱ガス化学(株)
田中一生  京都大学
中條善樹  京都大学
堀越裕   三菱ガス化学(株)
安田理恵  大阪ガスケミカル(株)
宮内信輔  大阪ガスケミカル(株)
中野雅比古 山形大学
榎本航之  (国研)理化学研究所
菊地守也  山形大学
川口正剛  山形大学
松川公洋  京都工芸繊維大学
長尾大輔  東北大学
伊掛浩輝  日本大学
金子芳郎  鹿児島大学
橋本浩伸  (株)日本触媒
清水健次  (株)日本触媒
山内一美  NTTアドバンステクノロジ(株)
荒川優樹  豊橋技術科学大学
小西玄一  東京工業大学
黒瀧宏和  イーヴィグループジャパン(株)
福井俊巳  (株)KRI

目次

第1 章 高屈折率材料の特性・評価と複屈折制御
1 屈折率の基礎とその測定法
1.1 屈折率の基礎
1.1.1 屈折率とはなにか
1.1.2 屈折率の波長分散
1.1.3 屈折率の異方性
1.2 屈折率の測定法
1.2.1 臨界角法
1.2.2 最小偏角法
1.2.3 液浸法
1.2.4 干渉法
1.2.5 楕円偏光解析法(エリプソメトリ―)
1.2.6 プリズムカップリング法
2 透明ポリマーの屈折率制御と予測
2.1 はじめに
2.2 屈折率の制御
2.2.1 屈折率と分子構造
2.2.2 屈折率の波長依存性
2.2.3 屈折率の制御
2.3 屈折率の予測
2.3.1 屈折率予測システム
2.3.2 屈折率予測における課題
2.4 おわりに
3 低分子添加やミクロ構造導入による透明高分子の複屈折制御
3.1 はじめに
3.2 複屈折
3.2.1 複屈折現象
3.2.2 分極率差と複屈折
3.2.3 高分子材料における複屈折の分類
3.2.4 複屈折の波長依存性
3.3 低分子添加による配向複屈折の制御
3.4 ミクロ構造を利用した複屈折制御
3.5 おわりに

第2 章 有機材料の設計と開発
1 透明材料の分子設計による耐熱化
1.1 はじめに
1.2 耐熱性ビニルポリマーの分子設計
1.3 アダマンチル基を含むポリマー
1.4 剛直主鎖構造をもつポリマー
1.5 高耐熱性マレイミドポリマー
1.6 有機-無機ハイブリッドポリマー
1.7 おわりに
2 複屈折性が極めて低い射出成形用特殊ポリカーボネート樹脂の開発
2.1 はじめに
2.2 カメラレンズとユピゼータ®EP シリーズ
2.2.1 カメラの小型化と高屈折材料
2.2.2 スマートフォンカメラと特殊ポリカーボネート,ユピゼータ®EP シリーズ
2.2.3 他分野における小型カメラとユピゼータ®EP
2.3 カメラの小型化に必要な高屈折材の特性
2.3.1 複屈折の制御
2.3.2 配向複屈折の制御?
2.3.3 配向複屈折の制御?
2.3.4 応力複屈折と光弾性係数
2.4 特殊ポリカーボネート,ユピゼータ®EP シリーズ
2.4.1 ユピゼータ®EP シリーズの製造方法
2.4.2 ユピゼータ®EP の化学構造
2.5 レンズの複屈折
2.5.1 レンズ複屈折の評価
2.6 おわりに
3 屈折率が制御されたポリマー材料の開発
3.1 はじめに
3.2 材料の高屈折率化
3.2.1 高屈折率化の原理
3.2.2 フィラーを用いた高屈折率化
3.2.3 高屈折率高分子の設計
3.2.4 高分子末端連結による高屈折率化
3.2.5 高屈折率・低光分散を実現するためのフィラー材料の設計
3.3 材料の低屈折率化
3.3.1 低屈折率化の原理
3.3.2 低屈折率材料の例
3.3.3 低屈折率フィラー設計
3.3.4 トレードオフ両立のための設計
3.4 まとめ
4 屈折率変化材料の開発
4.1 はじめに
4.2 ポリマーの光異性化反応による屈折率変換材料の開発
4.3 カリックスアレーンを基盤とした屈折率変換材料
4.4 ポリシルセスキオキサンを基盤とした屈折率変換材料
4.5 屈折率上昇変化薄膜材料
4.6 温度による屈折率変化
4.7 おわりに
5 眼鏡レンズ材料の高屈折率化
5.1 はじめに
5.2 高屈折率,高アッベ数の必要性
5.3 高屈折率化の手法
5.3.1 芳香環
5.3.2 フッ素以外のハロゲン原子
5.3.3 硫黄原子
5.3.4 重金属原子
5.4 眼鏡レンズ材料の高屈折率,高アッベ数化の歴史
5.4.1 初の眼鏡用プラスチックレンズ材料
5.4.2 高屈折率材料⑴
5.4.3 高アッベ数材料⑴
5.4.4 高アッベ数材料⑵
5.4.5 高屈折率材料⑵
5.5 ガラス領域への到達
5.6 三菱ガス化学の高屈折率化の挑戦
5.7 さらなる高屈折率化・高機能化の挑戦
5.8 おわりに
6 フルオレンによるエポキシ・アクリレート・ポリエステルの高屈折化
6.1 はじめに
6.2 フルオレンとは
6.3 屈折率を高めるには
6.4 高屈折率プラスチック
6.4.1 熱可塑性樹脂
6.4.2 熱硬化性樹脂
6.4.3 光硬化性樹脂
6.5 おわりに

第3 章 有機-無機ハイブリッドの設計と分散技術
1 光およびX 線散乱法を用いたZrO2 ナノ微粒子水分散液の特性解析
1.1 緒言
1.2 TEM 測定による特性評価
1.3 光散乱法による特性解析
1.4 小角X 線散乱法(SAXS)による特性解析
1.5 各種測定から特性化された平均粒子径の関係とその比較
1.6 おわりに
2 高屈折率有機無機ハイブリッド薄膜の光学特性
2.1 はじめに
2.2 チオール基含有シルセスキオキサンによる有機無機ハイブリッド
2.3 エン—チオール/ゾルゲル同時反応による有機無機ハイブリッド
2.4 ジルコニアナノ粒子を含んだ高屈折率有機無機ハイブリッド
2.4.1 ビスフェニルフルオレン誘導体からのデュアルサイト型シランカップリング剤の応用
2.4.2 ジアリルフタレートからのデュアルサイト型シランカップリング剤の応用
2.5 おわりに
3 チタン酸バリウムナノ粒子との複合化によるポリマー薄膜の高屈折率化
3.1 はじめに
3.2 ゾル-ゲル法によるチタン酸バリウムナノ粒子合成
3.3 PMMA との複合化による高屈折率ナノコンポジット薄膜の作製
3.4 BT ナノ粒子とポリアミド酸のブレンドによるナノコンポジット薄膜の作製
3.5 in situ 重合によるポリイミドナノコンポジット薄膜の作製
3.5.1 ポリアミド酸重合反応へのナノ粒子途中添加
3.5.2 化学イミド化がナノコンポジット屈折率に及ぼす影響
3.6 おわりに
4 バイオミネラリゼーションを模倣した環境調和型有機/無機ハイブリッドの調製~ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)/チタニアハイブリッドの調製を例に~
4.1 はじめに
4.2 PHEMA/チタニアハイブリッド材料の調製
4.2.1 ハイブリッド作製で使用する試薬
4.2.2 ハイブリッドフィルムの作製
4.3 物性測定装置および測定条件
4.4 ハイブリッド材料の物性測定および評価
4.4.1 ハイブリッドの調製評価
4.4.2 ハイブリッドの微細構造
4.4.3 ハイブリッドの光学特性
4.4.4 ハイブリッドの力学的性質
4.5 おわりに
5 高屈折率透明ハイブリッド材料の開発に向けた高分散性金属酸化物/シルセスキオキサン複合ナノ粒子の創製
5.1 はじめに
5.2 イオン性側鎖基を有するラダー状ポリシルセスキオキサンおよびかご型オリゴシルセスキオキサンの合成
5.3 高度な水分散性を有するシリカ/シルセスキオキサン複合材料の合成
5.4 高度な水分散性を有する酸化チタン/シルセスキオキサン複合ナノ粒子の合成
5.5 高度な水分散性を有する酸化ジルコニウム/シルセスキオキサン複合ナノ粒子の合成
5.6 おわりに
6 機能性微粒子の設計と光学材料への応用
6.1 はじめに
6.2 微粒子の技術と特徴
6.2.1 微粒子の製造方法
6.2.2 当社の保有する微粒子を中心とした各シリーズの特徴および用途例
6.3 ジルコスター®の技術と特徴
6.3.1 当社ジルコニアナノ粒子の特徴
6.3.2 分散液例
6.3.3 ジルコスター塗膜物性評価
6.3.4 開発品
6.4 おわりに

第4 章 成形技術と分子配向制御,応用技術
1 UV 硬化型樹脂の高屈折率化と接着剤・ナノインプリント樹脂としての応用
1.1 はじめに
1.2 高屈折率化の配合設計手法
1.2.1 屈折率を調整する元素
1.2.2 特殊な分子構造のモノマー,オリゴマー
1.2.3 ナノフィラー
1.3 高屈折率樹脂の用途と要求される特性
1.3.1 接着剤
1.3.2 コーティング剤
1.3.3 ナノインプリント樹脂
1.4 まとめ
2 高複屈折性液晶フィルムの開発
2.1 はじめに
2.2 高複屈折性液晶の設計法
2.3 アセチレンの効果
2.4 芳香族化合物の効果
2.5 含硫黄芳香族化合物の利用
2.6 含硫黄側鎖を有する棒状液晶の創製と高複屈折化
2.7 Δn >0.7 の高複屈折液晶
2.8 高複屈折性フィルム:側鎖型液晶高分子
2.9 主鎖型高分子
2.10 光架橋反応によるフィルム作製
2.11 おわりに
3 ナノインプリントによるウェーハレベルオプティクスの製造と高精度接合技術
3.1 ナノインプリント技術概要
3.1.1 ナノインプリントとは
3.1.2 各種ナノインプリント技術の特徴
3.1.3 ナノインプリント技術の応用例
3.2 ナノインプリントによるウェーハレベルオプティクスの製造
3.2.1 ウェーハレベルオプティクス概要
3.2.2 ステップ&リピート法によるマスタースタンプの製造
3.2.3 UV モールド法によるレンズウェーハの製造
3.2.4 レンズウェーハの積層
3.2.5 SmartNIL® によるウェーハレベルオプティクス製造
3.2.6 ウェーハレベルオプティクス製造で用いられる材料
3.3 まとめ
4 ナノハイブリッド技術の応用による簡便な高屈折率膜の形成技術
4.1 はじめに
4.2 ナノハイブリッド技術の光学材料への応用
4.2.1 透明性維持のための必要条件
4.2.2 ナノ粒子(クラスター)合成の考え方
4.3 ナノハイブリッド技術による高屈折率材料の形成
4.3.1 ハイブリッド化による屈折率制御
4.3.2 高屈折材料形成
4.4 まとめ

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