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凍結乾燥の最適な条件設定による品質の安定化

-ラボ機と生産機の性能の違いを反映させたスケールアップ-

レポート概要

~設備バリデーションによる無菌性保証と
     バイオ医薬品等の活用事例における乾燥時間短縮に向けたアプローチ~

<本書のポイント>

■適切な製造条件の設定による工程時間の短縮や乾燥時間の見極めに向けて

■凍結乾燥工程のスケールアップ
 -ラボ機と生産機の性能の違いを理解した凍結乾燥条件の設定、一次乾燥時間の見極め-

■リスクアセスメントにより重要工程パラメータや重要物質特性を明確化し,
 標準となる手法を有した効率的な管理戦略の構築とは、、、

■数学的モデルに基づいたCMAs(製品温度,乾燥抵抗など)やCPPs(棚温度,
 真空度,乾燥時間など)を考慮したプロセス設計とは、、、

■乾燥中の製品の昇華面温度があらかじめ予測される
    コラプス温度以上とならないような操作条件を適用にするには、、

■トラブル(失敗)事例から考える製品品質の安定化

■凍結乾燥工程の理解による良質なバイオ医薬品製剤の安定供給に向けて

レポート詳細

書籍要旨

【1】凍結乾燥のメカニズム/数学的モデルによるシミュレーション実施

凍結乾燥プロセスの理解に必須となる凍結乾燥操作、凍結乾燥過程、品質を中心にメカニズムについて解説。
これらは乾燥速度の決定メカニズム、品質変化の進行メカニズムの理解につながり最適化の指針を得るために重要である。
凍結乾燥は他の多くの乾燥手法と比べて乾燥所要時間が長い。乾燥過程を適切な数学的モデルによってシミュレーション
できることは乾燥時間の予測のみならず、乾燥過程における適切な加温プログラムの合理的な選択を可能とするため非常に
有用でありデザインスペースを計算することも可能である。

【2】品質劣化を避け効率的で無駄のないスケールアップの達成を目指した製造方法
     ~ラボ機と生産機の違いを適切に反映させた製造条件の設定~

凍結乾燥工程は注射剤の製造工程の中でも特にスケールアップの難しい工程である。
使用する凍結乾燥機のサイズが製造量に合わせてラボスケールの凍結乾燥機(ラボ機)から治験薬や商用製品を生産するための
凍結乾燥機(生産機)へと大きくなる。この際に品質劣化をさせないことに加えて効率的で無駄のない製造方法を確立することも
大変重要である。凍結乾燥プロセスのスケールアップに取り組むときはスケールアップに伴う様々な影響を吸収できる堅牢な
プロセス条件をラボで作ることまたラボ機と生産機の違いを適切に反映させたプロセス条件を生産機に適用することが重要。

【3】凍結乾燥にとって必要な設備バリデーションと設備機能の考え方
  ~無菌性保証と凍結乾燥プロセス面から設備バリデーションで何を実施すべきか~

凍結乾燥はプロセスそのものが真空であるため、設備の真空リーク量に対して厳密な管理が必要となる。 他の無菌製剤設備との
大きな違いはこの部分にある。また、凍結乾燥の無菌性保証には、設備の洗浄、滅菌フィルタ完全性試験など様々な対応が必要
である。
バリデーションの各検証項目において検証内容、判定基準を解説するとともに、設備設計の考え方についてを解説する。
適切な設備設計とバリデーションにより工程の無菌性を高度に保証することが可能となっている一方で、製薬会社においては
無菌保証システムを含む設備の理解があまり進んでいない現状もある。

【4】リスクアセスメントに基づいた凍結乾燥のプロセス設計/
      凍結制御技術を利用したデザインスペースを確立するためのアプローチ

高品質な製品を設計するために水分や熱に不安定な化合物の無菌製剤製造においては凍結乾燥法が最も有効な乾燥手段の1つ
である。一方で、本製造法は製品品質のコントロールが難しく製品品質の逸脱が発生した場合の損害は甚大である。
凍結乾燥プロセスの設計手法はQbD の概念によく一致しているが生産性および製品品質のばらつきの程度を決定する最も
重要な凍結ステップを制御できていないことは、頑健なデザインスペース確立の妨げになっている原因の1つとなっており
凍結乾燥領域の解決すべき課題である。
リスクアセスメントに基づいた凍結乾燥のプロセス設計の手法、凍結制御技術を利用した頑健なデザインスペースを確立
するためのアプローチそしてそれらを保証するためのPAT に関して解説する。

【5】凍結乾燥のトラブル事例と解決策

凍結乾燥時の乾燥不良については原因追及が困難な場合が多い。低温で長時間かけて乾燥を行えば、失敗を避けることは
可能であるが、生産効率が著しく悪くなり出来高に影響を与える。また、装置起因のトラブルによりバッチ全体の製品が
出荷できなくなる事例もあり、装置の適正な維持管理も重要なポイントになる。
本書では「プログラムおよび物性起因」「装置起因」「スケールアップ、サイトチェンジ」の観点からみたトラブル事例と
「機器メンテナンスと規格」についてを解説。
品質面・コスト面でバランス良く安定的な生産ができるのかを探り、出荷判定基準値にクリアする製品を安定生産することが
重要である。

【6】凍結乾燥技術の最新動向と「バイオ医薬品/タンパク質医薬品」
      「ペプチド原薬」「再生医療」における活用

・「最新動向」:<密閉型チューブ式凍結乾燥システム(ICS凍結乾燥機)>
密閉型チューブ式凍結乾燥は周囲環境の影響を受けない密閉環境の中で無菌・無塵性を維持し, 薬液などの原料投入から凍結乾燥,粉末化までを連続的に行うことが可能である。
昨今、連続生産技術が確立され生産現場への導入が進み、無菌製剤でも望まれているが 有効性は認められてはいても実現は困難を極めている。
解決策の一つとして本装置を有効活用にするために特徴を解説。

 <バッチ凍結乾燥プロセスの研究動向>
凍結の制御と凍結と製品物性との関わりに関する研究はまだまだ途上段階にありまだまだ多くの 研究が必要となる。近年の凍結乾燥プロセス開発の大きな動きでは、重要な操作パラメータを適切に モニターすることにより良い運転条件を見いだし操作へとフィードバックさせることで乾燥時間を 可能な限りの短縮実現である。​
また、凍結乾燥プロセスにおける大きな課題のひとつが過冷却解除のコントロールであり制御する 機構を取り入れた乾燥装置が開発されている。

・「バイオ医薬品」:<処方と工程設計および品質評価を他医薬品との比較>
注射剤としての適切な品質確保、原薬を有効利用するためにも特性を理解した製剤と工程設計が 求められる。また、開発で重要となる溶液と凍結乾燥製剤の選択では多面的に検討されている。
課題を抱えつつも凍結乾燥が継続して選択される理由として、多くの実績と研究から製品品質への リスク要因が明確となっており合理的な管理方法の設定が可能となっていることが挙げられる。

・「タンパク質」:<凍結乾燥プロセス検討に触れるとともに検討で得られた知見>
タンパク質は化学的安定性のみならず、その複雑な構造を保持することが非常に重要となることから 水溶液中で長期保存安定性の確保が困難となることがあり,凍結乾燥技術が重宝されている。
一方でランニングコストが高いプロセスであるため、実生産においては短い工程時間でコストを ​最小限にするために各乾燥工程で様々な最適化検討がなされている。限られた製造回数の中で 効率的かつ戦略的に必要データを取得する実験計画の立案とは、、

・「ペプチド原薬」:<凍結乾燥工程におけるスケールアップの取り組み事例>
1次乾燥は非常に時間がかかる上に乾燥に要する時間や品温は実際に実施してみないとよくわからない ことが大きな課題である。凍結乾燥における1 次乾燥の乾燥時間と品温のシミュレーションを試みた。
このシミュレーション結果から見出された内容とは、、、

・「再生医療」:<バイオマテリアル技術による再生医療への応用 ~DDS技術~>
再生医療における細胞へのアプローチ,DDS の材料調製に凍結乾燥技術は必要不可欠である。
バイオマテリアル研究から細胞になじみのある材料が知られ材料を凍結乾燥することで、 種々の3次元スポンジがつくられている。3次元足場材料の代表がコラーゲンスポンジであり その作製に凍結乾燥が活用されている。
凍結乾燥技術を細胞足場の調製に応用するべき必要性はきわめて大きく薬の徐放化DDS 技術に 利用する徐放化担体の調製にも凍結乾燥技術が重要な位置を占めている。

目次

第1章 凍結乾燥のメカニズム

1.凍結乾燥プロセスの概要
2.凍結乾燥操作
3.凍結過程
 3.1 凍結濃縮相の形成
 3.2 過冷却現象
 3.3 凍結過程の温度チャートの読みかた
 3.4 凍結溶液内に形成する氷晶のミクロ構造
 3.5 アニーリング
4.乾燥過程
 4.1 凍結乾燥の進行
 4.2 氷晶のミクロ構造と乾燥速度
 4.3 乾燥チャートの読みかた 
 4.4 凍結乾燥におけるコラプス
5.凍結乾燥と品質

第2章 凍結乾燥の数学的取り扱いとシミュレーション

はじめに
1.真空凍結乾燥の数学的モデル
2.パラメータの取得
 2.1 物質移動パラメータ
 2.2 熱移動パラメータ
3.シミュレーションの実施例
4.デザインスペースの計算

第3章 凍結乾燥におけるスケールアップのポイント
                ~注意点及び凍結乾燥条件の設定~

はじめに 凍結乾燥工程のスケールアップの必要性
1. 凍結乾燥工程の理解とスケールアップリスクの把握
 1.1 凍結乾燥工程の流れ
 (1)入庫
 (2)予備冷却
 (3)凍結
 (4)一次乾燥
 (5)二次乾燥・出庫
 1.2 スケールアップに伴うリスクの種類と原因
 (1)乾燥不足による安定性低下
 (2)外観上の不良
 (3)プロセスの過剰な長時間化
 1.3 凍結乾燥工程のスケールアップが難しい理由
2. スケールアップ検討の手順
 2.1 スケールアップ検討の基本方針
 2.2 ラボ機での基礎データ収集とプロセス条件設定
  2.2.1 凍乾ケーキが崩壊する温度条件の把握
 (1)ガラス転移温度Tg’
 (2)凍結乾燥顕微鏡で測定する崩壊温度TC,FDM
 (3)バイアルに入れて測定する崩壊温度TC,VIAL
  2.2.2 ラボ機での一次乾燥条件の設定
 (1)一次乾燥の温度と圧力の設定
 (2)一次乾燥の時間設定
  2.2.3 一次乾燥条件の堅牢性の評価
 (1)デザインスペースの作成による方法
 (2)実運転による方法
  2.2.4 ラボ機での二次乾燥条件の設定
 (1)二次乾燥の温度設定
 (2)二次乾燥の圧力設定
 (3)二次乾燥の時間設定
 2.3 生産機での検証
  2.3.1 凍結条件の検証
  2.3.2 一次乾燥条件の検証
  2.3.3 二次乾燥条件の検証
3. スケールアップへ向けた凍結乾燥プロセスの改善手法の例
 3.1 氷晶成長の制御による品質の均一化
 3.2 アニーリングの概要
 3.3 アニーリング追加のメリット
  3.3.1 ロット内の品質の均一化
  3.3.2 一次乾燥ステップの時間短縮
 3.4 アニーリングのデメリット
  3.4.1 凍結ステップ及び二次乾燥ステップの時間延長
  3.4.2 凍結乾燥機への過負荷
おわりに

第4章 凍結乾燥における無菌性保証と設備バリデーション

はじめに
 1. 概要
 2. URS(User Requirement Specification:ユーザー要求仕様書)
 3. DQ (Design Qualification:設計時適格性評価)
 4. IQ (Installation Qualification:設備据付時適格性評価)
 5. キャリブレーション (Calibration)
 6. OQ(Operational Qualification:運転時適格性評価)
  6.1 システムテスト
  6.2 凍結乾燥の運転性能確認
  6.3 真空リーク量確認
  6.4 フィルタ完全性試験
  6.5 洗浄性能確認
  6.6 滅菌性能確認
  6.7 復圧時間確認
  6.8 打栓性能確認
  6.9 工程所要時間確認
  6.10 PST (プロセスシミュレーションテスト)運転確認
  6.11 排気HEPAフィルタの性能確認
  6.12 搬入搬出の製造環境
おわりに

第5章 凍結乾燥製剤の製品開発 -バイアル凍結乾燥のケーススタディー-
                ~リスクアセスメントに基づいた管理戦略の構築~

はじめに
 1.リスクアセスメント
  1.1 プロセス設計のワークフロー
  1.2 凍結乾燥工程に対するリスクアセスメント
   1.2.1 凍結乾燥工程の潜在的重要工程パラメータ(p-CPPs)
 2.デザインスペース
  2.1 従来の設計手法
  2.2 凍結制御の生産性および製品品質への影響
  2.3 凍結制御技術 ~加圧・減圧法での評価事例~
 3.プロセス分析技術
  3.1 凍結乾燥工程で使用されるPAT手法
  3.2 TMbySR法による検証事例 ~非接触での温度の管理~
 4.今後の展望 -無菌連続凍結乾燥技術への期待-
  4.1 チューブ式密閉系凍結乾燥法
  4.2 噴霧凍結乾燥法
   4.2.1 噴霧凍結乾燥のメリット
   4.2.2 噴霧凍結乾燥法のGMPへの適応
おわりに

第6章 凍結乾燥の失敗(トラブル)事例と対策
                ~凍結乾燥機の機器メンテナンスと規格~

はじめに
 1.凍結乾燥プログラムおよび物性起因の失敗事例
 1.1 下部コラプス
 1.2 上部コラプス
   1.2.1 アニーリング処理
   1.3 収縮
   1.4 二層化
   1.5 表面形状不良
   1.6 飛散
   1.7 難透膜障害
   1.8 這い上がり
   1.9 破瓶
   1.10 有機溶媒残留
   1.11 沈殿
2.装置起因の失敗事例
  2.1 真空リークによる無菌性保障不良
  2.2 復圧フィルタ完全性試験不合格による無菌性不良
  2.3 含水率不良
3.スケールアップ、サイトチェンジでの失敗事例
  3.1 棚温度の出入り温度差による影響
  3.2 庫内気層温度の差による影響 
  3.3 容器形状や容器配列の違いによる影響
  3.4 サイトチェンジの際の注意点
4.医薬用凍結乾燥機のメンテナンスについて
  4.1 真空漏れのリスク
  4.2 機器異常による制御不良
 5.医薬用凍結乾燥機の規格について
 おわりに

第7章  凍結乾燥技術の最新動向

 第1節 密閉型チューブ式凍結乾燥機、乾燥プロセスの連続化
 はじめに
   1.連続生産のメリット
   2.医薬品製造における現状の凍結乾燥技術
    2.1 凍結乾燥の利点
    2.2 棚式凍結乾燥機の欠点
   3.ICS凍結乾燥機の特徴
     3.1 システムの概要
     3.2 システムの動作
     3.3 生産エリアの縮小
     3.4 凍結乾燥メカニズムとしての利点
     3.5 スケールアップの容易さ
     3.6 無菌プロセスシミュレーションでの凍結乾燥工程の再現性
   4.凍結乾燥機の規格について 
  おわりに

 第2節 凍結乾燥プロセスの課題と研究動向
   1.凍結乾燥研究
    2.製品組成と関わる研究
    3.バッチ凍結乾燥プロセスの研究動向
    4.凍結乾燥装置の新基軸
    5.今後の展望

第8章 バイオ医薬品の凍結乾燥とその評価

はじめに
 1.製剤の選択
 2.凍結乾燥製剤の設計
 2.1 安定化剤
   2.2 賦形剤とpH調整剤
 3.凍結乾燥工程の設計と制御
   3.1 一次乾燥工程の制御
   3.2 製剤設計による一次乾燥の効率化 
   3.3 工程の高度制御による一次乾燥の効率化 
 4.凍結乾燥バイオ医薬品の品質評価
   4.1 評価法と規格の設定
   4.2 安定性の評価

第9章 凍結乾燥技術を利用したタンパク質の製造プロセス

はじめに
 1. 凍結乾燥タンパク質の製剤処方
 2. タンパク質製剤における凍結乾燥プロセスの検討
  2.1 凍結乾燥プロセスの概要
  2.2 タンパク質製剤における凍結乾燥プロセス検討の現状
  2.3 凍結乾燥タンパク質製剤における最近の動向
 3. 一次乾燥プロセスにおける昇温速度の影響
  3.1 昇温速度が凍結乾燥ケーキの外観品質に与える影響
  3.2 昇温速度が凍結乾燥タンパク質の保存安定性に与える影響
  3.3 昇温速度の低下によって生じるコラプスの発生メカニズム
おわりに

第10章 ペプチド原薬の製造法検討について
          ~凍結乾燥工程におけるスケールアップの取り組み事例~

はじめに
 1.凍結乾燥について
 2.凍結乾燥のシミュレーションについて
  2.1 近似モデルについて
  2.2 ラボ機と実機のシミュレーションについて
  2.3 水運転について
  2.4 シミュレーション結果について
  2.5 デザインスペースについて
おわりに

第11章 再生医療に用いられている凍結乾燥技術

 1.再生医療の定義と再生医療における材料工学の位置付け
 2.細胞の周辺環境を作るための材料工学
 3.バイオマテリアル技術を活用した再生医療アプローチ
 4. 3次元足場材料の活用 ~細胞の家を作り細胞を元気にする~
  4.1 細胞の足場材料の役割と必要条件
  4.2 神経細胞における足場材料
  4.3 足場材料技術の課題と今後
 5. ヒト細胞を用いた3次元培養
  5.1 3次元培養のデザイン
 6.細胞及び細胞増殖因子の利用 ~細胞に食べ物を与えて細胞を元気にする~
  6.1 DDS技術の応用展開
   6.1.1 徐放
  6.2 体内再生誘導
 7.バイオマテリアルを利用した再生治療と再生研究の未来に向け
  7.1 バイオマテリアル技術の可能性と必要性

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発刊日

2020/01/30

体裁

B5 / 232ページ

販売価格

55,000 円
(本体50,000円 消費税5,000円)

発行

サイエンス&テクノロジー株式会社

関連カテゴリ

メディカル・バイオ(その他) / その他

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